歯周病

歯周病とは?

初期の歯周病

歯周病とは、バイ菌が歯と歯茎の間に入り、歯を支えている組織 (歯茎や骨) を破壊する病気です。バイ菌とは、プラーク(歯垢)といわれる歯に付着する粘着性の沈着物のことで、それらが歯と歯茎のすき間に入って作るバイ菌の巣をバイオフィルムと言います。

歯周病を予防するには、歯磨きが何より重要で、プラーク(歯垢)をしっかり除去しなければなりません。プラーク(歯垢)に唾液中のカルシウムなどが沈着すると、歯石になります。歯石になると歯磨きだけで除去するのは非常に難しくなります。 他には、生活習慣が歯周病を引き起こしたり、悪化させる可能性があるとも言われています。例えば、ブラキシズム(歯ぎしり・くいしばり等)、喫煙習慣、糖尿病、ストレスや食習慣などです。

また、歯周病はあらゆる全身疾患と関連があるのではないかと、近年研究が進んでいます。 歯肉が赤く腫れたり、ブラッシング時に出血したりすることがあれば、早めの受診をお勧めします。

堤歯科でのアンケート結果報告

平成15年1月から平成18年7月までの間に、初めて当院を訪れた約700名の方に、歯周病とその治療およびメインテナンスに関する簡単なアンケー トを実施いたしました。皆さんの歯周病に対する認識や、「歯石除去」と称して巷間、行われている歯周病治療の実際についての傾向が浮き彫りにされてきまし たので、多少の考察を交えて報告いたします。

まずは、お口の中の状況を把握しましょう

歯周病に関する知識
虫歯と並んでお口の中の2大疾患である歯周病に関して、歯科医院からの情報発信の少なさに驚かされます。
われわれが皆さんのお口の中の状況を把握することも大事ですが、それよりもむしろ、皆さん自身にご自分の体のことを知っていただくことが重要だと考えます。歯周病はどう して発症するのか、どうやって悪化してしまうのか、そして最も重要なのはどうすれば改善でき、よい状態を維持できるのか、一緒に考えましょう。状態の把握がなければ、対策も立ちません。

総合的な歯周病検査が大切です

歯と歯茎の間には歯肉溝 (しにくこう) と呼ばれる溝があります。それはあたかも指と爪の間に存在するような溝です。基本的な歯周病の検査としてはX線診査と、歯肉溝の深さの計測(プロービング)を行います。もし歯茎が炎症を起こして腫れてくると、その溝は次第に深くなっていきます。X線では歯を支えている骨の状態を2次元的にですが確認することができます。

またプロービングでは、1本の歯について6箇所の測定を行うことで歯周組織の3次元的な状態を知ることができます。X線の2次 元的な情報に3次元的なプロービングのデータを重ね合わせると、歯の周囲組織の全体像が把握できるようになります。

歯周病の検査

こういった検査は歯1本単位で行うので はなく、お口全体として捉えていかなければ意味のないものなのです。そのため、歯周病の検査を部分的に受けたことがあると回答していただいたものについて は、検査の経験なしと分類して集計しました。すると驚くことに総合的な歯周病の検査を受けたことのある方は10%にも満たないということがわかりました。

さらに経験ありとお答えになった方によくよく話を伺っていくと、プロービングで計測したのは各々の歯について1箇所ずつとのお答えが大半を占めました。これでは3次元的な歯周病の広がり方は把握できようもありません。

■ 正しい歯石除去をしていますか?

正しい歯石除去をしていますか?
歯のクリーニング(歯石の除去)について掲示したことがありますが、巷でよくやられているのは、超音波の器械を用いて15分くらいの時間で表面的な歯石をザッと落とすという、いわば十分な歯周病の治療というよりはエチケットの範疇を超えたものではないことが多いです。

74%の方に歯石を取ったことがあるとお答えいただきましたが、詳しく伺っていくと、 残念ながら、他の治療のついでに15分程度の処置時間で、1〜2回ぐらいで歯石除去が終わったとお答えいただくことが非常に多かったです。実際に全ての歯石を取りきるためには30分×6〜8回の時間が必要です。これでは歯周病治療を受けたことにはならないのではないのでしょうか?

半年に1度は歯石の除去を!

半年に1度は歯石の除去を!
また、歯石は1度除去したならば、もう2度とついたりしないものなのでしょうか? どんなに上手に日ごろの歯磨きができている方であっても、半年に1度はきちんとした歯石除去が必要です。ご自身の住まわれている家でも、年2回くらいの大掃除はしま せんか? 定期的に歯石除去を受けていた方は非常に少なく、ごく少数の方(7%)が歯周病のコントロールを受けていたに過ぎないという現実がありました。

20歳以上で50%、40歳以上で80%を超えるといわれる歯周病罹患率との開きはいったい何なのでしょう? 歯を失う方のほとんどは歯周病が原因だ という事実はどう捉えるべきなのでしょうか?

歯磨き、足りてますか?

歯磨き、足りてますか? 最後にブラッシング (歯磨き) について、まとめてみます。さすがに現代日本において、ブラッシングをしないという方はおいでになりませんでした。ただ、ブラッシング時間、回数において は十分とはいえないようです。

われわれが皆さんにお勧めするのは毎食後のエチケット程度のブラッシングと、日に1度は15〜20分程度の時間 をかけてのしっかりとしたブラッシングです。正しいデイリーケアについて、なるべく皆さんにお話していきたいと考えています。お口の健康は皆さんご自身の 努力・習慣によって守られます。
アンケートにご協力いただいた方々に深謝いたします。